2013年2月20日水曜日

雪の上の足跡

二十センチ、いや三十センチは積もっただろうか。雪の上にてんてんてんと足跡が続いている。幾人かが通って少し輪郭のぼやけたその跡を、雪が靴の中に入らないように慎重になぞっていく。年も性別も違う人たちが、同じ歩幅で、同じように歩いて行く。僕もまたその一人だ。

交差点に差し掛かる。足跡はまっすぐ続いている。左側に続く歩道は真っ白な雪面のままだ。何もない雪の上に、僕が足跡をつけていく。僕は振り返らない。だから自分のつけた足跡を見ることもない。けれども、ほかの誰かが、また僕の足跡をなぞっていく。ひとつひとつの足跡は次第に大きくなっていき、いずれ一本の道となる。

ときに他人と同じ道を歩み、ときに自分がさきがけとなり道を作っていく。前者の方が圧倒的に多いけれど、それはそれでいい。皆が同じ苦労を味わう必要はないのだから。

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